【ALBUM REVIEW】Bubble Tea And Cigarettes / There’s Nothing But Plesure(2022)

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ニューヨークで活動する韓国出身の男女デュオによるドリームポップ・バンド、Bubble Tea And Cigarettesのデビューアルバムですが、なかなか個性的でビックリした次第。
ドリームポップにフレンチポップや日本の歌謡曲要素を混ぜ込んだようなニュアンスで、恋愛をテーマに、甘く切なく、そして悲しい、トロットロにとろける歌詞・メロディ・サウンドが展開されています。

たとえば涙腺直撃のサッドソング「Santa Monica」。

失恋の喪失感をストレートに表現した歌詞やリヴァーブの効いたサウンドも含めて、ハチャメチャに切ない。
特に、サビの最後を“I’m lost in love / I’ve lost it all”という歌詞で落とす直球さ。メランコリックなメロディとか細いウィスパーボイス合わさって、ズキューンと胸に刺さる。
このコテコテなカタルシスは洋楽を聴いてるとなかなかないもので、懐かしさすら感じました。非常に歌謡曲的な、日本人には琴線に触れるメロディと世界観ではないかと。

こちらの「He Asked Me to Quit Smoking」もかなり歌謡曲の濃度が濃い。
大貫妙子「黒のクレール」あたりに近いニュアンスというか。もしくはフレンチポップの名曲「T’en va pas」や「L’Aquoiboniste」あたりの哀愁を連想します。
メロディや歌詞はさることながら、使われているサウンドもストリングスなど歌謡曲でよく聴くものが多く、楽曲構成もAメロBメロサビ、といった日本の様式美的な構成。
このスタイルは日本人にも出来るんじゃないのかなぁ……とかふと思ったりします(The Mellowsが近いかも)。

ドリームポップは基本的にメロディやサウンドが醸し出す夢心地感が大事で、ファンタジーや麻薬的なトリップ感を演出する方向に向かいますが、彼らは「恋愛の夢心地感」と「それが失われたときの悲しみや痛み、そして空虚な浮遊感」をドリームポップ的手法で描いている、という点がなかなかユニークなアプローチです。

ちなみにタイトル曲「There’s Nothing But Pleasure」や「Leap」のようなストレートにBeach Houseな曲もあるんですが、核となっているのはメランコリックで切ない中盤の曲ですね。

このバンドを知ったのが去年の終り頃だったためAOTYには入れなかったのですが、アルバムのインパクトは抜群でした。最近出た新曲「Happiness」では少し音楽性を変えてネオソウル風のスウィートな楽曲を披露しており、その辺も含めかなり好きなバンドです。
今後の音楽性の変化がどう転がっていくのか、非常に楽しみ。

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