
突然YouTubeのアルゴリズムがオススメしてきて、サムネ画像のファンタジックなアートワークに惹かれて聴いてみたところ、非常に魅力的な作品だったので購入してしまったアルバム。
Anna WiseはインディバンドSonnymoonでの活動や、Kendrick Lamarとのコラボレートが有名なシンガー。
これまでの作品はネオソウル~ヒップホップといった感じだったのが、今作ではネオソウルを軸足にしつつ、アヴァンフォーク、バロックポップ、ドリームポップといった新しい領域にフォーカスしており、都会的なネオソウルを逸脱した神秘的・自然的・ファンタジックな世界を繰り広げています。
変幻自在なコードワークと、スウィート&ドリーミーなメロディはいかにもネオソウル的。
一方でサウンドはアコースティックな楽器がメインで、全体的にバロックな雰囲気になっているのが個性的です。
エクスペリメンタルな要素も強く、不可思議な音の断片が歌の合間合間に差し込まれたりと、非常にシュールな印象を受ける場面もちらほら出てきます。この辺はプロデュースに関わっているMaurice II(Jon Bap)の影響もデカそう。
こちらは60年代の映画の主題歌のような、悲し気な美メロ炸裂の「Jealousy Blocks Your Blessings Every Time」。
この手のメロには非常に弱いわたくしです。
後半のセリフの部分も雰囲気抜群でイイですね。
最後は最もドリーミーで実験的な「Mother of Mothers」で、夢の世界に行きっぱなしで幕引き。とてもイイぞ。
全体的に「不思議の国のアリス」というか、少女の脈絡のない記憶の断片があれこれ無作為につながった、シュールで美しい夢の世界が展開されていて、まるで幻想的な短編映画のサントラような心地よい気持ちに浸ることができます。
ちなみにアルバムとしては7曲20分程度という短めのボリュームなので、扱い的には実験的なミニアルバムといった趣でしょうか。
非常に素晴らしい内容だった半面、もうちょっと聴きたいな~と思ったりもするため、この方向性でフルアルバム出してほしいなとも思ったり。
まあなんにせよ、またもや優秀なYouTubeアルゴリズムにしてやられた、最高に好みな作品でした。
余談ですが、最近はネオソウルとドリームポップ・サイケポップの垣根が曖昧になってきているというか、お互いが接近している事象が多々見受けられるのが非常に喜ばしいですね。
サイケポップ側のVinyl Williamsなんかも、コードワークが非常にジャズ・ソウル寄りですし。
ジャズ由来の自由で幻想的なコードワークと、サイケ由来のトリップ感や実験性は相性も良く、聴いたことのないような音楽、見たことのないようなサウンドスケープが生み出されることが多いので、今後もこの界隈非常に期待です。(Genevieve Artadiの新作もそんな感じだった)
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