台湾のインディバンドDeca Joinsの2ndアルバム『鳥鳥鳥Bird and Reflections』、初めて聴いたときちょっとビックリしました。
ソウルやジャズを基調とした温かみのあるふくよかなグルーヴと幻惑のサイケデリック・ギター、そして甘く夢見心地なヴォーカルが映し出す真夜中のサウンドスケープ。
たまらなく甘美でそしてチルな、極上のサイケデリック・インディポップを展開しております。
アジアのインディバンドを探り始めたころだったので、こんなレベルの高いバンドがいるのかと非常にワクワクした記憶があります。
立ち込める霧のように怪しげな、浮遊感漂う不思議な音色のギターが印象的な代表曲「漫漫長夜」。
スクラッチノイズに軽い歪みと空間系のエフェクトかけてるのかな?
これを大胆にもサウンドの主役にして曲を作るセンスはなかなかユニーク。
こちらの曲はまさに「霧」と題された楽曲。
最近のサイケポップの主流であるシンセを多用するエレクトロなサウンドではなく、主にギターサウンドで温かみのあるサイケデリアを醸成しているところが他にはない魅力ですね。
包容力を感じさせるリズム隊のグルーヴも、全身を預けてもふわっと受け止めてくれる上質なソファーのようで素晴らしい聴き心地。
おまけにソングラインティングはメジャーセブンスや転調を多用したジャズ、ソウル、シティポップス風ときている。
ハイセンスですなぁ。
あとこれは個人的なこだわりなんですが、台湾語で何歌ってるか分からない(もしくはマンダリンなのかな?それすらわからなくて恐縮です)のもエキゾティックさとミステリアスさをそそり、それが独特のサイケデリックな酩酊感を催したりもしてイイんですよね。
ちょいちょい日本にもライブしに来てくれているみたいですが、チェック不足で行けてないのが悔やまれます。
酒飲みながらふらふら聴いてたらめっちゃ気持ちよさそうなんだよな。
と、ここまで「サイケポップ」の文脈でレビューしたのですが、もしかしたら本人たちにサイケをやってる意識は薄いかもしれません。バイオグラフィや紹介記事で「サイケ」と書いてあることがないので。
上に挙げた「午夜的消亡」は瞑想的かつ催眠的な楽曲でいかにもなんですけどねぇ。
まあ細かいことはさておき。
アジアの異国情緒と南国の温暖な空気に浸らせてくれる、ゆるゆるマッタリ、でもちょっとシャレたこのアルバムは、台湾インディの傑作であることは間違いないでしょう。今年はSXSWにも出るみたいなんで、どんどん世界で人気出てほしいですね。
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