
Khruangbin、Altın Gün、Mdou Moctar、幾何学模様など、サイケ界隈で「エキゾチック・サイケ」とでもカテゴライズしたくなるような、西洋音楽以外の民族音楽・民謡の要素をサイケデリック・ロックに混ぜ込んだバンドが注目を集めている昨今だが、遂にサイケ界では割と王道なインド要素を取り入れたバンドが登場。Glass Beamsはオーストラリア・メルボルンにて、インドをルーツに持つメンバーが中心となって結成されたバンド。今までサイケ界で見られたThe BeatlesやKuka Shakerなどのインド風サイケロックとは一味違い、ポスト・ロックやトリップホップなどのモダンな西洋音楽のニュアンスも感じられつつ、仕上がりは、ヒンドゥー教の神秘と雅の妖気が立ち込めているトランシーなサウンドになっていて、これがたまらない。メンバーの呪術師的な衣装も音楽のミステリアスな世界を盛り立てており、引き込まる。
EPの内容そのままのライブ動画。「唵」というようなコーラスがまた儀式的陶酔感をそそる。
しかしサイケとは面白いジャンルである。マニアックではあるものの、流行り廃りがあまりなく、どの時代にも常にサイケバンドが活躍している。音楽のスタイルも「サイケの効能さえあればなんでもよかろうなのだ」の精神で、千差万別で飽きない。英語以外の曲を聴かない英米のリスナーも、サイケに限ってはAltın Günのトルコ語や幾何学模様の日本語を聴いている。むしろそれ自体が、何を言っているのかわからない耳慣れない語感が呪文ぽくて良くね?という、サイケ的効能をもたらす要素として楽しまれていそうな気もする。というか自分はそうである。
Glass Beamsは今のところインストがメインだが、「Mahal」のコーラスも美しいので、今後いろいろやってくれそうで楽しみだ。
え、そしてなんですか。フジロック来日ですか。
足腰の弱ったデスクワークなプロレタリア貧困層叔父様にはもはや手が出ないフェスなので、気長に単独を待ちましょう。