Night Tapes / Assisted Memories(2024)

新譜

イギリスでは珍しい超メロメロなドリームポップバンド、Night Tapesの新作ミニアルバム。けっこう注目しているバンドなのだが、まだミニアルバムしか出ていない模様。フルアルバムはいつ出るのだろうか。はやる気持ちを押さえつつ、それでも今作は過去作の中では最大となる7曲収録なので、まずはそれを喜びたい。
Men I Trust風のファンキーなベースが引っ張る「drifting」から始まり、夢見心地のサウンドと甘くとろけるようなメロディ&コードワークの「loner」、80年代のニューウェイブポップ風な「projections」などシングル曲はどれもキャッチーで素晴らしい。いっぽうアルバム曲は瞑想的・幻想的な雰囲気で、ヴェイパーウェイブ風のシュワシュワしたサウンドエフェクトの「assisted memories」や「waterfall」などがキラキラしたシングル曲の合間をチルなムードで繋いでおり、作品全体でメリハリが効いておりめちゃくちゃ聞き心地が良い。
そして清涼感を伴った親しみやすいメロディと甘いヴォーカルがどことなく北欧ポップスっぽくてそれも良い。Voのイーリスがエストニア出身だからだろうか。エストニアといえば、Pia FrausやShe Bit Her Lipなど良質なシューゲイズ/ドリームポップバンドを輩出している国なので、勝手にその系統に分類していたり。イーリスはもともとソロでエレクトロポップやっていたようだが、個人的にはNight Tapesの音楽性のほうが声質にもあっている気がするので、ぜひこちらで本腰の活動をお願いしたい次第。

ドリームポップどころかメロディ要素の薄いポストパンク系バンドの強いロンドン拠点というのがちょっと心配だったりするが、いつかフルアルバムもよろしくお願いいたします。このドリーミーなポップワールドが、アルバムではどんなスケール感で展開されるのか聴いてみたいのですよ。

評価:★★★★ 8/10