Folly Group / Down There!(2024)

新譜

ロンドンのダンス系ポストパンクバンドのデビューアルバム。Squidと同様にドラマーがVoを担当するうえ、バンド内にドラマーが2人いる(ツインドラムというわけではない)異色の編成。その音楽性は、編成から察する通りリズムに傾倒したもので、ヒップホップ、テクノ、ダブ、アフロキューバンなどをごちゃっと混ぜた現代的なハイブリッド感が持ち味だ。
Gang of Fourなヴォーカルの裏で躍動するアフロなリズムが面白い開幕曲「Big Ground」、直線的でアッパーなパンク曲ながら手数の多い性急なドラムが興奮を煽る「I’ll Do What I Can」、抑制されたボーカルのマントラと浮遊感のある上モノの音空間がカッコいい「East Flat Crows」、アフロキューバンなリズムといかがわしいチープなシンセ音が交錯する楽しげな「Strange Neighbour」と、アルバム前半からかなり盛り上がる。
しかしながら、アルバム後半は、ヴォーカルやギターの個性が薄かったり、ミドルテンポの曲の良さをそこまで出せていなかったりで、前半の勢いが失速していく流れに。アフロキューバンリズムやダブの要素がない曲の強みがあまり見出せず、もはやオリジナル世代より数がいるんじゃないかとすら思えるほど大量発生しているポストパンク系バンドの群衆から抜きん出た存在になれるかどうかは少し疑問である。後半も前半と同じノリのまま駆け抜けるか、むしろもっと実験的な曲、マニアックな曲で攻めたりしても良かったのでは、と個人的には感じた次第だ。
とはいえ、複雑なリズムセクションとお祭り感のあるノリ、さらにこのアルバムではあまり見られないが初期の曲にある実験的なアプローチは非常に魅力的なので、今後この辺りをどのように発展させていくのか、期待したい。
評価:★★★ 6/10

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