Phoebe Rings / Phoebe Rings(2024)

新譜

ニュージーランドのドリームポップバンドPhoebe Ringsのデビューミニアルバム。身悶えしそうになるスウィートな転調メロディやリバーブをたっぷりかけたメロウな音像はしっかりドリームポップだが、リズム隊やコード進行にジャズ・ソウル・ボサノヴァなどのフレイバーを仕込んだシンセ主体の音作りは中期のStereolab、はたまた日本の90年代の渋谷系ギターポップも連想させるし、Bandcampのプロフィール文にはゼルダの伝説やジブリ映画のサントラなんかも影響に挙げられている。ユニークなバックボーンから生み出されるアジア的なメロディセンスやファンタジックな音作りが魅力のバンドだ。
全6曲ではあるが、どの曲もクオリティが高く、聴きごたえがある。走りまわるベースと宝石のようなシンセが不思議ムードを演出する「Cheshire」、最も渋谷系やシティポップ的なものを感じさせるレトロなソフィスティ・ポップ「January Blues」に始まり、「Lasy Universe」「Spissky」「Ocean」とスペーシーな浮遊感とドリーミーな美メロを楽しめる中盤でじっくりと聴かせ、最後はメジャーセブンスのギターとキラキラ・ふわふわしたシンセの絡みが爽快な「Daisy」で夢の世界を締めくくる。曲のタイプもさまざまで、ソングライティングの地力も十分に感じさせてくれる内容。これはぜひフルアルバムが聴いてみたい。今後もっと活動領域を広げていって欲しい。
評価:★★★★☆ 9/10

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