彼女たちの曲は海外のR&Bやクラブ系を下敷きにしていることもあってか、洋楽リスナーとしては聴き馴染みがあって入りやすい。もしくは日本では珍しいソフト&クールなヴォーカルスタイルや、宇宙人設定によるコズミックな音世界が自分の趣味に刺さったというのもある。ファッションやMVでは日本のサブカル要素や海外のハイパーポップ勢の影響両方を感じられて面白く、K-POPのノウハウで活動しながら他のK-POPグループとは一線を画するオルタナティブなガールズグループという印象で、音楽的にもパフォーマンス的にも、音楽マニア視点でも興味深い活動になっている。
さて、今作は2ndミニアルバムということで、普通にインディロックばっかり聴いてる身からすると、これだけ人気あるのだからフルアルバムを出してほしいと思ってしまうのだが、他のK-POPグループもミニアルバムが多いようなのでそういうカルチャーなのかと納得。確かに、MVやビジュアルのアーティスティックな作り込み、踊りの振り付けを1曲1曲やってると思うとなかなか厳しそうだ。
しかしながら、満足度は非常に高い内容である。
曲の前フリ的・繋ぎ的な短いトラックを挟むコンセプトアルバム的な作品作りもさることながら、1曲の作り込みと中毒性が非常に高い。格調高いウッドベースの入りからコーラスのファルセットがひときわ耳を惹きつける美しい「Howling」、複雑な2ステップのリズムによる疾走感に加え抑制的なVoが切なさを醸し出す「IYKYK」、ジャンプ漫画と東映がコラボしたみたいな世界観のMVも楽しいが、強力に弾むリズムを軸に最後のコーラスだけ音がMAX賑やかになる芸コマな作りに昂揚する「Something Ain’t Right」と、どれも歌ばかりを強調することなくサウンドも絶妙なバランスで煮詰まっており、何度聴いても飽きさせない、ポップソングとして優秀な仕上がりとなっている。
シングル曲だけではなくアルバムの曲も良くて、コーラスのフックが耳に残る甘く切ないR&B「In the Rain」、リバーブの効いたドリーミー&コズミックなサウンドながらところどころハーヴィーのヴォーカルがスパイスになっている「Is This Love?」も絶妙。ファンの間で否定的な声が多く自分も最初不安に感じていたメンバー不在のコラボ曲「Woke Up Remixx」も、アルバムの流れで聴けば確かに原曲よりも収まりが良く感じるし、XGはプロデューサーのJacopsを筆頭に裏方の制作陣も含めたプロジェクトだと捉えているので、こういったチャレンジもアリと感じた(まあラップはあまり聴かないし、良し悪しを語ることも出来ないから「わあーすごいー」的なイノセントなノリで聴いてるところは否めない)。どうしたって商業的なことを求められるジャンルで、このこだわりや新しいことへのチャレンジ精神は驚異的に思う。
今後もガールズグループを紹介することはほぼなさそうだが、XGだけはピックアップしていく予定。某K-POPグループを過剰に持ち上げる洋楽オタク諸氏が「ニュジおじ」などと揶揄されていたのを見て、自分のような輩も「X爺」などと蔑まれやしないか、と恐れ慄きながら。
コメント