
Elbowとの出会いであり、メンタルを病んでいたメランコリックな大学時代にひどくハマっていた作品。Elbowがサウンドプロダクションにこだわっていた時期で、現在の彼らと比べると少し異質な「トリップホップ+ブリティッシュフォーク+ネオサイケデリア」といった感じの音楽性である。リリース当時はプログレも引き合いに出されており、「Newborn」の後半の展開とかは確かにそれっぽいし、Pink FloydやTalk Talkなどの影響を感じなくもないが、むしろそれよりはRadioheadがロックに持ち込んだトリップホップの要素をさらにネオサイケ寄りに発展させたような印象のほうが強く、酩酊感の強いトランシーでドラッギーなサウンドが楽しめる。
Elbowにハマるキッカケになった名曲「Any Day Now」をはじめ、「Little Beast」、「Bitten By The Tailfly」といった、ダウナーで中毒的なリズムループに、波紋のようなトレモロや弦と指が擦れ合うノイズも心地良いドラッギーな幻惑ギター、持続音の揺らぎがトランシーなシンセなどが醸成する、凍てついた質感のサイケデリアがたまらない。アコースティックギターをサイケデリックな質感で扱っているのも特徴的だ。
また一方で、当時これまたRadioheadが開拓し流行していた泣きメロのバラード曲も強い印象を残す。変則的なリズムループとミニマルなコード進行にドラマチックなメロディを合わせるアレンジが巧みな「Red」や、美しいピアノとトレモロギターのドリーミーなサウンドに包まれる叙情的な「Powder Blue」、美し過ぎるメロディから壮大なノイズの嵐に上り詰める「Newborn」と、初めて聴くときはまずこのあたりに一番耳を惹きつけられるだろう。
アルバムの構成も練られていて、ドラマチックな歌モノの後には箸休め的に「Don’t Mix Your Drink」のようなチルな曲が収められていたりと、ミドルテンポの曲しか入っていないにも関わらずしっかりとメリハリがついている。重苦しいサウンドの「Comming Second」でアルバムの終盤をダークに盛り上げた後も、イギリス北部の牧草地を想起させるオーガニックなフォーク曲「Scattered Black And Whites」で美しく爽やかに終わっていく。ロック的な分かりやすい刺激はない代わりに、緊張感と安心感をうまい具合に行き来して没入感を高めている、トータルの完成度が高い仕上がりだ。
Elbowがネオサイケデリアの文脈で紹介されることはほとんどないと思うが、このデビューアルバムに関しては明確にサイケな陶酔感を宿している。これだけダウナーなサウンドはこの作品だけなので、その後の彼らにピンとこない人もぜひ聴いてみてほしい。いまだに聴き続けている名盤である。
Elbowにハマるキッカケになった名曲「Any Day Now」をはじめ、「Little Beast」、「Bitten By The Tailfly」といった、ダウナーで中毒的なリズムループに、波紋のようなトレモロや弦と指が擦れ合うノイズも心地良いドラッギーな幻惑ギター、持続音の揺らぎがトランシーなシンセなどが醸成する、凍てついた質感のサイケデリアがたまらない。アコースティックギターをサイケデリックな質感で扱っているのも特徴的だ。
また一方で、当時これまたRadioheadが開拓し流行していた泣きメロのバラード曲も強い印象を残す。変則的なリズムループとミニマルなコード進行にドラマチックなメロディを合わせるアレンジが巧みな「Red」や、美しいピアノとトレモロギターのドリーミーなサウンドに包まれる叙情的な「Powder Blue」、美し過ぎるメロディから壮大なノイズの嵐に上り詰める「Newborn」と、初めて聴くときはまずこのあたりに一番耳を惹きつけられるだろう。
アルバムの構成も練られていて、ドラマチックな歌モノの後には箸休め的に「Don’t Mix Your Drink」のようなチルな曲が収められていたりと、ミドルテンポの曲しか入っていないにも関わらずしっかりとメリハリがついている。重苦しいサウンドの「Comming Second」でアルバムの終盤をダークに盛り上げた後も、イギリス北部の牧草地を想起させるオーガニックなフォーク曲「Scattered Black And Whites」で美しく爽やかに終わっていく。ロック的な分かりやすい刺激はない代わりに、緊張感と安心感をうまい具合に行き来して没入感を高めている、トータルの完成度が高い仕上がりだ。
Elbowがネオサイケデリアの文脈で紹介されることはほとんどないと思うが、このデビューアルバムに関しては明確にサイケな陶酔感を宿している。これだけダウナーなサウンドはこの作品だけなので、その後の彼らにピンとこない人もぜひ聴いてみてほしい。いまだに聴き続けている名盤である。
さて、この作品については1つ申し添えなければいけないことがある。この作品は当初全10曲でリリースされていて、前述した内容はその10曲版でのレビューとなる。その後、日本を含む海外版や再発版では収録曲が2〜3曲追加されたバージョンでリリースされた。まあそれだけなら普通のボーナストラック付きの内容なのだが、これが本編の途中に差し込まれているのが問題である。緊張感や陶酔感が張り詰めた作品でもあるから、当初想定していなかった曲が間に入っているとバランスが崩れ、聴き手の興が削がれて散漫な印象を与えることになる。ゆえに、オリジナルリリースの10曲版と12〜3曲のボーナストラック挿入バージョンは別評価の扱いとした。ちなみにいまspotifyにある本作も「Asleep In The Back」と「Can’t Stop」の2曲を途中に挟んでいるヴァージョンでもはやこちらのほうが公式の扱いだが、完成度は確実に10曲版のほうが高い。
ただ、挿入している曲自体は悪い曲ではない。特にアルバムリリース後にEPとしてリリースされた「Asleep In The Back」は、現在に至る音楽性に繋がっていく素晴らしい曲だ。また、現在デラックス版に入っている「Vum Garda」は中毒的な反復リズムが導くダウナーな陶酔感がたまらない、初期のElbowを象徴するような曲で、これまたオススメだ。ここは少々面倒ではあるが、アルバム試聴時はいったんボーナストラックは飛ばして聴き、最後にまとめてボーナストラックを聴くことをお勧めしたい。
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