ライブレポ、というタグを作りながら、チケット代もずいぶん高額になり、そもそも都心を離れてしまったのもあって頻繁にライブを見に行くことも難しくなってしまった。
しかし今は配信ライブがある。Coachellaはコロナ禍が終わっても配信を続けていてくれて、大変ありがたい。「金持ちフェス」との批判もあるが、配信とはいえ無料でライブを見せてくれるのは、私のような非・富裕層にもありがたいことである。
他のフェスでもやってほしいと思うのだが、なかなかCoachellaのような太っ腹な配信をやるところはない。生音の身体に響くような感覚や、観客の一体感、そういったものの高揚感はやはり生で見てこそ味わえる他に代えがたいものなので、その部分がそぎ落とされたYouTubeライブを無料で配信しても、チケットの売り上げにはそんなに影響しないんじゃないかと思ったりするのだが、どうだろうか。
Sonoraステージは他では見れない貴重な新人インディーバンドがよく出るのだが、残念ながらいつも配信の音が悪い。Julieも非常に楽しみにしていたのだが、音の悪い環境にさらにシューゲイズの轟音なので、音がつぶれていてあまり楽しめなかった。ただライブがよさそうなのは伝わってきて、いっそう生で見たくなった。最後はモッシュも発生していて楽しそうだったし。
前作からリリースもだいぶ空いてるし、何故突然というタイミングではあったが(後に彼らがアメリカのGhostly Internationalと契約して新曲を出すということを知る)、ちょうどハマっていたところだったのでありがたい。タイトなビートがダンサブルな、演奏のしっかりしたバンドという印象。Voジェーン・ペニーのフルート演奏も良い見せ場だった。
初めて見たので刺激が強く、ベストアクト……と言いたいところだったが、コーチェラの客は金持ちや若者が多くおとなしいためか、YouTubeに上がっている彼らの他のライブに比べると盛り上がりがイマイチで、後で見たBBCが上げているグラストンベリーのライブに腹筋と表情筋が崩壊するくらい爆笑させられたので、次点。それでもセバスチャンがパンイチになったり(1週目)、酔いが回って餌付いたり(2週目)と何が起こるかわからないスリリングなライブは楽しめた。そもそも初めて見る勢としては、全身モンモンの入ったアウトローが出てきたと思ったら、ビールっ腹は出てるわ、精彩を欠いたような怠惰なパフォーマンスをするわで驚きの連続、こういう衝撃的な出会いがフェスでライブを見る醍醐味だよ、と懐かしい興奮に沸き立った。ステージの背面にENDLESS ANXIETYとか書いてあるけどそもそもお前らのライブ自体がENDLESS ANXIETYなんだよ、とツッコミを入れたりしながら、ほんと笑えるライブだった。
そして新譜を聴き、いたく気に入ってしまった。ライブではストーナーロックか?という印象を抱いたが、CDではサイケ~ノイズロックな感じで大好物の音楽性だった。来年の来日ライブも行きます。
いろんなフェスに出てるけど、そもそもまだフルアルバムも出していないんだよな。世界中で注目されているサイケバンド。「Mahal」以外にもいろんな曲があって、大体似てる感じと言えばそうなんだが、演奏力も高く、引き出しも色々と隠し持っていそうなので、早くまとまった音源が訊いてみたい。
ベストアクト。曲ごとでライブ動画は見たことあるけど、通しで見たのは初めて。美しい。そして彼らがライブバンドであることを確信。CDだと打ち込み含めバランスよく丁寧に作ってるが、ライブはオルタナティブ・ロック的な勢いがあり、いっぽう包み込むような陶酔感はサイケデリックで、より広がりとエナジーを放っている。ドラムのジョシュの演奏もすごいが、ドリーミーでサイケな空間系エフェクトを操るギタリストも凄腕。何より冒頭の「Hamptons」で爽快にはじける瞬間が最高だった。
身内の大舞台を緊張しながら見守るといった感じで見ていたXG。1週目は強風の悪コンディションで、「In The Rain」の傘のパフォーマンスがうまくいかない場面もあり(メンバーは動じずに対応していたが)、全体的に少し固いかな、という印象だった。2週目は天候リスクのある「In The Rain」を外しノリのいい「Mascara」に変えたセットリストで、メンバーも吹っ切れたのか、掛け声も多くハイテンションで、ロック的な高揚感のあるパフォーマンスを見せていて非常によかった。20歳前後の子たちが早くも夢を1つかなえていて、この先どんな経験を積んでいき、どれだけビッグなアーティストになるのだろうと思うと、音楽ファンとしては楽しみで仕方がない。
超蛇足で1つ気になるところがあるのだが、ライブのロックアレンジみたいなのがハードロックになっちゃうのが、原曲のアレンジが秀逸過ぎるのもあるし、自分が割とこだわったロックリスナーだったりするのもあって、もうちょっとかっこいいロックをやってほしいなと思ったり思わなかったり。SIMON氏、お願いいたします。
Lady GagaやLISAはステージは派手だし衣装替えも頻繁だし、といった感じだったが、チャーリーは対照的でファッションショーのようなミニマルなステージで身一つで絶唱するスタイリッシュなパフォーマンス。これがカッコよかった。ただ、去年巷では大絶賛されていた『Brat』が個人的にはイマイチハマれなかったため、『Brat』の曲メインのセットリストにそこまで盛り上がれなかった。オートチューンもちょっとやり過ぎ感があって、ミニマルなステージングと相まって飽きやすい感じも。『Crash』を出したころにリアルタイムでハマっていれば……。
XGが好きになれたので、もしかしてケーポはいけるクチなのか? と節操の無さを発揮し、ちょっとBLACK PINKを試してみた。XGが目指す先に何があるのかを、先行している彼女たちから垣間見てみたかったりも。まあすんなり聴けてはしまうんだけど、やっぱりガチのK-POPの曲はあまり自分には刺さらないみたいである。というかK-POPは私のような一般の感覚とはかけ離れた音楽マニア向けには作ってなくて、いろんな人向けのエンターテインメントというか。ちなみにLISAはイギリスのバラエティ番組によく出ているようで、YouTubeに動画が割とあり、英語の勉強がてらけっこう見てたので、歌より先にタレント活動しているところ見知っていた。XGを観に来て盛り上がってたみたいだし、きっといい子なんだろうな、と。
音楽的には全く趣味じゃないし、ステージで展開されている世界観もアメリカ人特有の悪趣味なゴシック世界で気味が悪いとしか思わなかったが、エンターテイメント大国アメリカの現最高峰エンターテイナーのパフォーマンスは音楽界隈の一般教養として一見に値するものがあった。音楽も趣味じゃないしステージも気味が悪いと思いながらも、私は終始爆笑しながら見ていた。私のような人間にも「次はどうなる?」と興味を惹きつけるのはさすがである。マイケル・ジャクソンやマドンナといった先人たちの意思を、この難しい時代に受け継ぐことの偉大さがよく分かった。
しかし今は配信ライブがある。Coachellaはコロナ禍が終わっても配信を続けていてくれて、大変ありがたい。「金持ちフェス」との批判もあるが、配信とはいえ無料でライブを見せてくれるのは、私のような非・富裕層にもありがたいことである。
他のフェスでもやってほしいと思うのだが、なかなかCoachellaのような太っ腹な配信をやるところはない。生音の身体に響くような感覚や、観客の一体感、そういったものの高揚感はやはり生で見てこそ味わえる他に代えがたいものなので、その部分がそぎ落とされたYouTubeライブを無料で配信しても、チケットの売り上げにはそんなに影響しないんじゃないかと思ったりするのだが、どうだろうか。
まあそんなことを思いつつ、今年は家フェスのような感じでかなりがっつり見たので、ライブレポとして残しておきたい。
Julie
Sonoraステージは他では見れない貴重な新人インディーバンドがよく出るのだが、残念ながらいつも配信の音が悪い。Julieも非常に楽しみにしていたのだが、音の悪い環境にさらにシューゲイズの轟音なので、音がつぶれていてあまり楽しめなかった。ただライブがよさそうなのは伝わってきて、いっそう生で見たくなった。最後はモッシュも発生していて楽しそうだったし。
TOPS
前作からリリースもだいぶ空いてるし、何故突然というタイミングではあったが(後に彼らがアメリカのGhostly Internationalと契約して新曲を出すということを知る)、ちょうどハマっていたところだったのでありがたい。タイトなビートがダンサブルな、演奏のしっかりしたバンドという印象。Voジェーン・ペニーのフルート演奏も良い見せ場だった。
Beth Gibbons
客入りが寂しい感じだったが、現在のコーチェラの客層からするとちょっとミスマッチだったのかも。しかし、ベスのヴォーカルの表現力も凄いし、バックの演奏も凄いし、1曲終わるごとに息を吞んでお葬式のように厳粛な雰囲気になるのが良かった。
契約の関係かアーカイブが残ってなかったのが残念。
Viagra Boys
初めて見たので刺激が強く、ベストアクト……と言いたいところだったが、コーチェラの客は金持ちや若者が多くおとなしいためか、YouTubeに上がっている彼らの他のライブに比べると盛り上がりがイマイチで、後で見たBBCが上げているグラストンベリーのライブに腹筋と表情筋が崩壊するくらい爆笑させられたので、次点。それでもセバスチャンがパンイチになったり(1週目)、酔いが回って餌付いたり(2週目)と何が起こるかわからないスリリングなライブは楽しめた。そもそも初めて見る勢としては、全身モンモンの入ったアウトローが出てきたと思ったら、ビールっ腹は出てるわ、精彩を欠いたような怠惰なパフォーマンスをするわで驚きの連続、こういう衝撃的な出会いがフェスでライブを見る醍醐味だよ、と懐かしい興奮に沸き立った。ステージの背面にENDLESS ANXIETYとか書いてあるけどそもそもお前らのライブ自体がENDLESS ANXIETYなんだよ、とツッコミを入れたりしながら、ほんと笑えるライブだった。
そして新譜を聴き、いたく気に入ってしまった。ライブではストーナーロックか?という印象を抱いたが、CDではサイケ~ノイズロックな感じで大好物の音楽性だった。来年の来日ライブも行きます。
Glass Beams
いろんなフェスに出てるけど、そもそもまだフルアルバムも出していないんだよな。世界中で注目されているサイケバンド。「Mahal」以外にもいろんな曲があって、大体似てる感じと言えばそうなんだが、演奏力も高く、引き出しも色々と隠し持っていそうなので、早くまとまった音源が訊いてみたい。
The Marias
ベストアクト。曲ごとでライブ動画は見たことあるけど、通しで見たのは初めて。美しい。そして彼らがライブバンドであることを確信。CDだと打ち込み含めバランスよく丁寧に作ってるが、ライブはオルタナティブ・ロック的な勢いがあり、いっぽう包み込むような陶酔感はサイケデリックで、より広がりとエナジーを放っている。ドラムのジョシュの演奏もすごいが、ドリーミーでサイケな空間系エフェクトを操るギタリストも凄腕。何より冒頭の「Hamptons」で爽快にはじける瞬間が最高だった。
XG
身内の大舞台を緊張しながら見守るといった感じで見ていたXG。1週目は強風の悪コンディションで、「In The Rain」の傘のパフォーマンスがうまくいかない場面もあり(メンバーは動じずに対応していたが)、全体的に少し固いかな、という印象だった。2週目は天候リスクのある「In The Rain」を外しノリのいい「Mascara」に変えたセットリストで、メンバーも吹っ切れたのか、掛け声も多くハイテンションで、ロック的な高揚感のあるパフォーマンスを見せていて非常によかった。20歳前後の子たちが早くも夢を1つかなえていて、この先どんな経験を積んでいき、どれだけビッグなアーティストになるのだろうと思うと、音楽ファンとしては楽しみで仕方がない。
超蛇足で1つ気になるところがあるのだが、ライブのロックアレンジみたいなのがハードロックになっちゃうのが、原曲のアレンジが秀逸過ぎるのもあるし、自分が割とこだわったロックリスナーだったりするのもあって、もうちょっとかっこいいロックをやってほしいなと思ったり思わなかったり。SIMON氏、お願いいたします。
Charli XCX
Lady GagaやLISAはステージは派手だし衣装替えも頻繁だし、といった感じだったが、チャーリーは対照的でファッションショーのようなミニマルなステージで身一つで絶唱するスタイリッシュなパフォーマンス。これがカッコよかった。ただ、去年巷では大絶賛されていた『Brat』が個人的にはイマイチハマれなかったため、『Brat』の曲メインのセットリストにそこまで盛り上がれなかった。オートチューンもちょっとやり過ぎ感があって、ミニマルなステージングと相まって飽きやすい感じも。『Crash』を出したころにリアルタイムでハマっていれば……。
LISA
XGが好きになれたので、もしかしてケーポはいけるクチなのか? と節操の無さを発揮し、ちょっとBLACK PINKを試してみた。XGが目指す先に何があるのかを、先行している彼女たちから垣間見てみたかったりも。まあすんなり聴けてはしまうんだけど、やっぱりガチのK-POPの曲はあまり自分には刺さらないみたいである。というかK-POPは私のような一般の感覚とはかけ離れた音楽マニア向けには作ってなくて、いろんな人向けのエンターテインメントというか。ちなみにLISAはイギリスのバラエティ番組によく出ているようで、YouTubeに動画が割とあり、英語の勉強がてらけっこう見てたので、歌より先にタレント活動しているところ見知っていた。XGを観に来て盛り上がってたみたいだし、きっといい子なんだろうな、と。
Lady Gaga
音楽的には全く趣味じゃないし、ステージで展開されている世界観もアメリカ人特有の悪趣味なゴシック世界で気味が悪いとしか思わなかったが、エンターテイメント大国アメリカの現最高峰エンターテイナーのパフォーマンスは音楽界隈の一般教養として一見に値するものがあった。音楽も趣味じゃないしステージも気味が悪いと思いながらも、私は終始爆笑しながら見ていた。私のような人間にも「次はどうなる?」と興味を惹きつけるのはさすがである。マイケル・ジャクソンやマドンナといった先人たちの意思を、この難しい時代に受け継ぐことの偉大さがよく分かった。
フェスって色々なアーティストが出ていて、「好きじゃなかったけど興味本位でライブ見てみたらよかった」みたいな経験があるのが良いところだ。自分の好きな音楽だけで凝り固まってしまうと、リスナー体験としてもやせ細ってしまう。
なので国内のフェスも参加したいところだが、あれだけ高額だとやっぱりお目当ての出演者がもっと多くないと厳しい。フジロックもサマソニも、国内のポップバンドやK-POPで揃えていて、ぜんぜん見たいアーティストがいないので、やはり難しい。
ということで、もっと配信をやってくれるフェスを期待したいところである。