Herbie Hancock – Thrust(1974)

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 ハービー・ハンコックのジャズファンク期2枚目となるアルバム。名盤だった前作『Head Hunters』に引き続きThe Headhuntersの面々とともに繰り広げるグルーヴ絵巻であるが、ドラマーのみハーヴィー・メイソンからマイク・クラークにチェンジ。その影響もあるのか、ドラムからのっそりと始まる「Palm Grease」は前作冒頭の「Chameleon」に比べるとややスロースタートというか、ベースのリフが複雑化して曲の屋台骨に据えられている感じではなくなり、ドラムと共にタップダンスのように手数の多いリフをひたすら繰り返すことで徐々に徐々にグルーヴの吸引力を高めていくというテクニカルな構造になっている。続く「Actual Proof」ではさらにスピード感とリフの複雑さが増し、最初から勢いのついた状態でクールに駆け抜けていく。ファンクというよりもジャズやダンス・ミュージックの要素が強い曲で、中盤以降激しくなるハービーの狂的な和音が乱れ飛ぶキメのところはカッコ良すぎである。B面はまったりしたスペーシーな展開ながらもところどころで程よい緊張感とグルーヴが身体に心地よい刺激を与えてくれる「Butterfly」を挟み、最後にベースがグイグイと力強いグルーヴを牽引していくファンキーな「Spank-A-Lee」で盛り上げて終わる。

 曲の中での緩急の差が減り、その分スリリングさや絶頂へ上り詰めた時のカタルシスが減っており、そこが歴史的名盤たる前作との差を感じるが、いっぽうで一定のリズム感・グルーヴ感が持続する本作はよりフロアライクというか、クラブ向きに感じる。音源としても、鍵盤、管楽器、ベース、ドラム、パーカッションそれぞれの楽器が一体感を持って狂騒的に鳴らされているため、イヤフォン・ヘッドフォンで聴くよりも、性能のいいスピーカーからデカい音を出して楽しみたい作品だ(近所迷惑にならない程度に)。

 それにしても、この時代のアートワークは手書きのイラストで未来的な世界観が描かれていてカッコイイ。昔は、日本人でアフロヘアーにしている人ってどういうセンスなんだろうと疑問だったんだけど、ハービーのカッコ良さに惚れた今なら、アフロヘアーにしたくなる気持ちが少しだけ分かる気がする。

評価:★★★★ 8/10