Yonlapa – Velvet Petals(2025)

新譜
新譜

 タイ北部チェンマイ拠点のバンドYonlapaの、音楽的なチャレンジに満ちたとてもフレッシュな傑作ミニアルバム。
 Yonlapaはデビュー以来ずっと追いかけてきて、1stフルアルバム『Lingering Gloaming』も2023年のアルバムTOP10にも入れたほどハマった作品だったが、新曲を聴くたび、バンドの能力・センスの高さやその音楽性の拡張ぶりに驚かされてきた。本作『Velvet Petals』でも彼らの音楽的冒険心はより研ぎ澄まされていて、オルタナティブ・ロック、ソウル、ジャズ、ドリームポップ、ネオサイケデリアといった、これまでYonlapaの音楽性を構成してきた要素をそれぞれ深く掘り下げているのと同時に、持ち前のトロピカルな南国バイブスや、タイ歌謡の雰囲気を感じるポップなメロディは健在なままで、バンド固有の個性を維持したまま新しい領域に表現の裾野を広げることに成功している。冒頭「Loop」では、ノイナのヴォーカルも今までにないほどの幽玄さを醸し出しており、グッと重心を下げたベースと軽やかなドラム+パーカッションのグルーヴも激シブでカッコイイ。「Misguided Ghost」ではブレイクビーツのようなリズムに、ノイナのラップ、さらにそこから移行するボサノヴァと最も挑戦的な曲となっているが、しかし全体的には優雅なサウンドにまとめられていて、とても心地よい。いっぽう「Velvet Love」「Little Faster」といった曲ではトロピカルなバイブスを感じるYonlapaらしいインディポップでほっこりとした気持ちにさせてくれるし、後半に収められている先行シングル「Saltburn」やラスト「When The Time Runs Out」では90’sスタイルのオルタナティブなインディギターロックを展開していて、ガッツリと歪んだギターのアンサンブルが作品の世界を一気に壮大に広げクライマックスを演出。最後は大空に響き渡るような余韻と共に終わっていく、心地いい幕引きである。
 音楽的な挑戦は時にリスクにもなるが、バンドの原点であるノイナの歌心は忘れないバランス感覚が素晴らしいし、それを支えるアレンジのセンスの良さ、演奏の巧みさ、ロックバンドとして重要なリズム隊のグルーヴ感など、本当にYonlapaは良いバンドだなと思う。次の作品も非常に楽しみだし、このままどんどん世界的に人気を獲得していって欲しい。

評価:★★★★+ 8.5/10