
2025年6月に通算8・9枚目となる『Polyhaven』と『Portasymphony』の2枚のアルバムを同時リリースしたVinyl Williams。『Portasymphony』は90年代初期の8トラックカセットMTRで制作された実験的なローテク、ローファイ作であったが、本作『Polyhaven』の方はハイファイ版、というよりはいつもの流れで作成された通常運行のアルバムである。
本作はソウルやジャズなどブラックミュージックの音作りを意識したものか、いつもよりはデッドめなミックスで生々しさを感じるヴォーカルとシンセサイザーが印象に残る。これまでの作品でも徐々にそういったアレンジ、ミックスが増えていたが、本作序盤の「Beam Me Up」「Find The Hidden」「Eden」ではさらにその傾向が進んでいて、コードはねじくれて不可思議な世界に迷い込んではいくものの、リヴァーブの霧はすっかり晴れており、今まで残響音で埋め尽くされていた空間には色々なサウンドエフェクトが鳴っている。もともとVinyl Williamsはノスタルジアによるサイケデリアといった表現を志向していて、音も基本ローファイ気味、というか、経年劣化したテープの音のようにわざと劣化させたような音作りが基調となっているので、ハイファイという言葉はあまり似つかわしくないが、ここではしっかりとステレオフォニックな音の曼陀羅を構築している。特に「Find The Hidden」の、得体の知れない方向に吸い込まれていくような気持ち悪いコード進行、聴く者を混乱させる拍の取り方、さらにそのままの勢いで後半どんどん音空間が膨張していく感じは最高で、しかもこの不定形のスライムのようなトラックを甘やかに乗りこなすライオネルの歌メロも合わさって、本作屈指の非常に中毒的な名曲となっている。
とはいえアルバム全体としてはそういった曲ばかりではなく、中盤からはむしろいつものリヴァーブ&ディレイが棚引くウェットな音像が増えてくる。シャボンの泡が飛び交う大浴場でぬるま湯に浸かりながら鼻歌を歌っているかような心地よさの「The Other Side」や「Glisten」、エキゾチックなスペイン語詞とまどろみの世界に引きずり込まれるようなメロディが心地よい「Alto Sol Nuevo」はVinyl Williamsならではの幽玄な世界で、やっぱりキモチイイ。
本作はソウルやジャズなどブラックミュージックの音作りを意識したものか、いつもよりはデッドめなミックスで生々しさを感じるヴォーカルとシンセサイザーが印象に残る。これまでの作品でも徐々にそういったアレンジ、ミックスが増えていたが、本作序盤の「Beam Me Up」「Find The Hidden」「Eden」ではさらにその傾向が進んでいて、コードはねじくれて不可思議な世界に迷い込んではいくものの、リヴァーブの霧はすっかり晴れており、今まで残響音で埋め尽くされていた空間には色々なサウンドエフェクトが鳴っている。もともとVinyl Williamsはノスタルジアによるサイケデリアといった表現を志向していて、音も基本ローファイ気味、というか、経年劣化したテープの音のようにわざと劣化させたような音作りが基調となっているので、ハイファイという言葉はあまり似つかわしくないが、ここではしっかりとステレオフォニックな音の曼陀羅を構築している。特に「Find The Hidden」の、得体の知れない方向に吸い込まれていくような気持ち悪いコード進行、聴く者を混乱させる拍の取り方、さらにそのままの勢いで後半どんどん音空間が膨張していく感じは最高で、しかもこの不定形のスライムのようなトラックを甘やかに乗りこなすライオネルの歌メロも合わさって、本作屈指の非常に中毒的な名曲となっている。
とはいえアルバム全体としてはそういった曲ばかりではなく、中盤からはむしろいつものリヴァーブ&ディレイが棚引くウェットな音像が増えてくる。シャボンの泡が飛び交う大浴場でぬるま湯に浸かりながら鼻歌を歌っているかような心地よさの「The Other Side」や「Glisten」、エキゾチックなスペイン語詞とまどろみの世界に引きずり込まれるようなメロディが心地よい「Alto Sol Nuevo」はVinyl Williamsならではの幽玄な世界で、やっぱりキモチイイ。
いっぽうでこれまでの作品と比べると歌メロが少し地味で、それでも全然満足なレベルではあるのだが、サイケポップとしてのキャッチーな面が薄まっている点は否めない。歌メロ以外でも、空間系エフェクト全開な没入感たっぷりの音作りや、耳を惹く美しいギターアルペジオといったVinyl Williamsならではの魅力も控えめなので、より一層地味な印象を受ける。どの曲もアルバムの曲としてはよく練り込まれてはいるのだが、ハイライトとなる曲が少ない印象である。
最近はマイペースな活動ぶりから音楽メディアなどで取り上げられることも少なくなってしまったVinyl Willamsではあるが、そんなことはお構いなしの様子で、むしろよりいっそう制作ペースが上がっており、すでに2026年の新譜もリリースされたばかりだ。サイケ系のバンドはマイペース&多作になりがちなので特筆すべきことではないかもしれないが、2~3年に1枚だすのが標準のロック界隈において、この供給量は嬉しい限りである。
90年代初期のCG黎明期のころの気持ち悪い雑コラなデジタル・ノスタルジアを表現したMVだけでもクセが強いのに、それを3Dインタラクティブ動画として作りこんでゲームのようにする発想が面白い。3DでMVを作り続けているのはVinyl Williamsくらいでは。