Herbie Hancock – Man-Child(1975)

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 ハービー・ハンコック with The Headhuntersのジャズファンク3部作の3枚目、このアルバムはThe Headhuntersのメンバーだけで濃密に作り上げた今までのアルバムとは異なり、数多くのゲストを招いたグルーヴ・マシーン最終形態のような様相を呈しており、一聴して華やかで、そして今までで最もエナジーが溢れた明確にファンキーなサウンドの作品である。
 その豪華なゲストは……といっても、自分はまだそれほどブラック・ミュージック界隈に詳しくないため、このレビューを書くためにいろいろ知っていきつつある、という感じで恐縮だが、まず全体的にノリノリなギターリフを弾いているワーワーワトソンはモータウンの凄腕ギタリストで、ハービーの次作『Secrets』でもがっつり組んでいる重要人物。加えてサックス奏者でWether Reportのメンバーでもあるウェイン・ショーター、数々の名盤にベーシストとして参加しているThe Brothers Johnsonのルイス・ジョンソン、「Steppin’ In It」のハーモニカを吹きまくっているスティーヴィー・ワンダーといったあたりが有名どころ。しかしそれもゲストミュージシャンのほんの一部で、これだけそうそうたるメンツを揃えているにも拘らず、とっちらかったりオーバープロデュースになったりせずにキッチリと程よい質量にまとめあげているのはさすがである。

 本作は全6曲で、2曲目「Sun Touch」と4曲目「Bubbles」だけ洒落たチル・フュージョンだが、他は陽気で賑やかなジャズ・ファンク・ワールドが繰り広げられている。冒頭からホーンセクションが暑苦しいまでにゴージャスな「Hang Up Your Hang Ups」は、後半一転ハービーが涼やかにピアノで登場してくるところが非常にニクイ。3曲目の「The Traitor」は特に好きで、ズドンズドンと鼓膜を打ち鳴らす重量級のベースと4つ打ちのドラムが推進力となって、そこに軽快なウワモノ楽器の音色とリズム感も絡まり、ズイズイと押し出されるようなグルーヴ感を形成しており、すんごくキモチいい。エンベロープ・フィルターがビヨンビヨンいってる超ファンキーなベースがクセになる「Steppin’ In It」も、延々このリフを繰り返していて欲しいくらい中毒的で、大好きである。
 基本的には起伏があまり無い曲構成でドラムのリズムパターンもシンプルなので、ジャズ・セッション的な熱量が高まって狂騒的演奏に突入していくスペクタクルは薄いものの、ループ主体の曲構成は前作同様ダンス・ミュージックのようで、今聴いても古い感じはしない。世間一般的には、おそらくチルな2曲の評価で賛否が分かれて、アルバムとしては少し評価を落とすようだが、個人的にはこの2曲もかなり好きで、というのも、シンセを使ったチル系の音楽が流行っている今では、これが割といい感じで響くのだ。特にフニャフニャしたシンセのサウンドがスペーシーで心地よい「Bubbles」はかなりお気に入りである。あとはゲストたちがソロパートも与えられて大暴れしているためか、ハービーやThe Headhuntersの面々のプレイがあまり目立たない感じもあったりするが、これだけ曲が面白ければ個人的には大満足である。

 音楽業界全体的にデジタル・サウンドと打ち込みリズムに移行しつつある昨今、この人力のダンス・ミュージックが流行っていた時代がとても羨ましい。こんなのライブで聴いたら踊り狂うこと間違いなしである。アートワークもキモカッコイイし、すばらしい作品である。

評価:★★★★ 8.5/10