
Underworldを思わせる「Ethereal Connection」や、Aphex Twinの『Selected Ambient Works 85-92』を思わせる音像の「End Of Summer」など、ケヴィン・パーカーのヴォーカルスタイルや完璧主義的な作りこみ体質にテクノが合っていることは明白で、この2曲は本当に素晴らしい。3rd以降のエレクトロサウンドへの方向転換のあとも、リズムは生ドラムをサンプラーでループさせていたくらいバンドサウンド的な音色を構築するのにこだわっていたTame Impalaが完全にテクノの打ち込み音楽を作るのは身もふたもない、と思いつつもこれだけお似合いならば問題ない。加えて美しいヴォーカルのオーロラと粘着質なアシッドSEが飛び交うエレクトロポップな「Oblivion」も、いかにもサイケ出身のアーティストがやるにふさわしいテクノ路線でキモチ良さが詰まっている。アルバム終盤のカタルシスを形成する「Afterhought」のアッパーな四つ打ちとキャッチーな歌メロも切れ味抜群である。
それゆえ、もういっそのこと全部テクノにしてしまえばいいのに、とも思ってしまう。当初予想していた通り、やはり半分くらいは従来路線の曲、というか、音はテクノやR&B風になっているもののソングライティングは今まで通り、といった感じの曲が多い(「Ethereal Connection」や「End Of Summer」はソングライティング自体がテクノ的な感じに分解されているので面白く感じる)ので、全体の印象はちょっと退屈な感じがするのが正直なところである。ケヴィン・パーカーの韻をベタベタ踏みまくるねっとりした歌は、ゆったりしたBPMのダンスビートと相性がよく、特有のトランシーなサイケ・ポップを生み出しているが、昔からどうもダンサブルな曲以外がいまいちピンとこないようである。韻を踏んだ歌詞が「聴覚的な快感」しか感じ取れないせいかもしれない(和訳だと当然韻は踏まれないので)が、ダンスビートやサイケデリックなサウンドが無くなって素の歌が前面に出ているような曲が、自分の中ではあまり魅力に感じられないところだったりする。それでも、アンセム感のあるポップソング「Dracula」は、ユーモラスな歌詞も含めて非常にキャッチーで、前半のハイライトとなっている。
期待感は高かったものの、結果的にはやはりいつものTame Impalaのアルバムだなぁという感じで、なかなかアルバム通して再生する回数は伸び悩み、一方でお気に入りの曲は何度聴いても飽きないので特定の曲ばっかり選んで聴いている、といういつもの感じに落ち着いたのである。個人的にはもうちょっとテクノのほうに踏み越えて欲しかったし、シングル曲の感動がアルバム全般に行き割ってほしかったのだが、しかし売れているようなので、きっとこれが一般ウケするバランスなのだろう。