Glazyhaze – SONIC(2025)

新譜
新譜

 イタリアのシューゲイズバンド、Glazyhazeの2ndアルバム。全曲英語詞なのでイタリア感はあまり感じられない欧州標準なサウンドで、メロディやギターサウンドには北欧のバンドのような清涼感が漂っており、聴きやすい。イタリア北部のほうのバンドかな?と思ったら案の定ヴェネツィアのバンドだった。

 後発のシューゲイズバンドは、特に発祥の地であるUKのバンドがそうなりがちなのだが、ストレートに王道シューゲ・サウンドを展開することに抵抗があるのか少しヒネった感じだったり、他のジャンルと混ぜ込んでシューゲイズはあくまで引き出しのうちの一つ、といったタイプが多い。しかしGlazyhazeはその点非常にストレートである。冒頭「What a Feeling」に象徴される衒いのない若さ溢れるディストーション・ギターのストロークは目の覚めるような爽快感があるし、「Forgive Me」ではシューゲイズのお約束であるピッチをひん曲げるアーム奏法や、美しいアルペジオから量感のあるギターの音圧へと瞬間的に切り替わる静と動のコントラストなど、シューゲ好きを唸らせるサウンドがしっかり詰め込まれている。そしてそこに乗ってくるのが、Voイレーネ・モレトゥッツォの透き通った歌声である。エモーショナルなサウンドに、このクールな歌声が乗るというところでもまた、鮮やかにコントラストが効いていて、このあたりも昔のシューゲイズバンドが持っていた輝きを新鮮に表現してくれていて嬉しい。
 また同時にポストパンク〜ゴス的な仄暗さもあるのがこのバンドの特徴で、角ばったドラムのリズムがクセになるアルバム中盤の「Sonic」から80’sの感じが濃くなっていく。コーラス・エフェクトのかかった艶やかなギターがゴスっぽい妖しさを漂わせる「Slap」や、直線的な縦ノリがパンク的な「Not Tonight」は、キラキラした前半とは一転してダークな疾走感があってカッコいい。このあたりはまずアルバムの構成的に朝と夜といったような場面転換があって良いのと、そもそもオリジナル世代のシューゲイズバンドもポストパンク、ゴス、ネオサイケなどからの影響が強いので、昔ながらのシューゲイズらしい作風となっていて非常に好みである。(そもそも所々で聴けるベースVsevolodのヴォーカルがポストパンクスタイルのぶっきらぼうな歌唱法で、これも味がある)
 と、オリジナル世代との類似点を書き連ねるとまったく新鮮味の無いバンドかのように勘違いされてしまいそうで少し不安になってきたが、そんなことは全然ない。清々しい青空や緑の木々を思わせる爽快な曲と、仄暗い夜の路地裏で燻るフラストレーションが燃焼する曲、その明暗が色彩豊かに描かれて、見事に瑞々しいまでのシューゲイズサウンドが展開されている。特に私が一番好きなのは、ダークに盛り上がったあとの最終曲、深いリヴァーブと美しいハーモニーに彩られたドリーミーな「Warmth」である。意識が遠のくような優しいディストーション・ギターの棚引きでこのアルバムを終える美的センスは本当に素晴らしいと思う。

 かつてのシューゲイズが当時の若者の儚い夢を鳴らしていたように、現在に生きる彼らもシンプルなシューゲイズ・サウンドに載せて、瑞々しい煌めきを聴かせてくれる。シューゲイズ趣味者として、これは本当に嬉しいことである。

評価:★★★★ 8/10

元ジャガー使いとしてはやはりギターに目が行くが、それ以上にカタカナの名前入りなのが気になってしまうMV。