
ダンボがキレる、というファンキーな名前がイカしてるルカ・ベルゴミによるイタリア産サイケポッププロジェクトの3rdアルバム。ソウルのグルーヴと甘いメロディをフニャフニャしたスペーシーなシンセサウンドで包み込み、それらをレアグルーヴのサンプリングのようなレトロでローファイな音質で仕上げるという通好みなサイケデリアがDumbo Gets Madの持ち味であるが、本作では一転ハイファイでスムースなサウンドへと移行しスケール感と大衆性を獲得。より広範なリスナーに訴求しうる極上のスペーシー・ソウルフル・サイケポップに進化した。
表題曲「Thank You Neil」や「Youniverse」のまったりしたヴォーカルとグルーヴからしていきなりとろけさせてくれるが、スペーシーなシンセの電子音をバックにローズピアノと切ないヴォーカルのリフレインがグッと来る「Quasar」、前半を締めくくるキャッチーなポップソウル「Misanthropulsar」も素晴らしい。後半の曲も、ファンキーに盛り上げてから一転スペーシーにトリップさせるスペクタクルな「Orion Caos」を筆頭に、ロマンティックな「Andromedian Girl」、タイトルからしてそのまんまなインスト曲「Cosmic Bloom」までは宇宙空間をポップに遊泳。終盤もシド・バレットやMGMTを思わせるボソボソVoとコミカルな曲調が面白い「Loosing It」や、レトロなポップソング「Haters Pardise」など、最後まで魅力的な曲が満載の内容である。
マニアックな音楽性のアーティストが作るポップ作は往々にしてトゲが抜かれるもので、本作も確かにいつもよりサウンドの奇天烈さは抑えめだが、アメリカの天文物理学者ニール・ドグラース・タイソンにあやかったタイトルにも表れている通り、非常にポップな曲にも関わらず宇宙的世界観の歌詞が歌われていたりして気が抜けない。曲名もクエーサーやらパルサーやら星座の名前やら、宇宙オタクがグッとくる単語が連なっているが、テーマは個人の心の解放や愛だったりと普遍的なもので、このあたりのセンスも素敵である。
映画を見ているように、ひと場面ひと場面引き込まれるドラマがいっぱい詰まった鮮やかなサイケポップの傑作である。