
Horsegirlの1st『Versions Of Modern Performance』はその無骨なノイズギターや、若者らしい鬱屈したエナジーがクールなサウンドの裏にフツフツと沸き立っている感じ、そしてもっと直接的に言えば、Sonic Youth、My Bloody Valentine、Yo La Tengo、Gang Of Fourなどが引き合いに出された自分の趣味を横断していく音楽性に惚れ込んですぐにハマってしまった。しかしながら今作でまず最初に気づくのが、脱ディストーションの作風である。シューゲイズから離れ、ほんのりサイケな感じはあるものの、全体的にローファイでほんわかしたインディギターポップへと音楽性の衣替えをしていて、ここは正直なところ、自分のストライクゾーンからは少し逸れてしまって寂しい気持ちもある。ただ客観的に見れば魅力は増していて、例えばキーボードやヴァイオリンの音が加えられるなど少し華やかな仕上がりになりつつも、ディストーション成分が減った分だけ風通しの良さは前作以上で、歌や音の隙間から爽やかな風が吹き抜けていくのが感じられて気持ちいい。飄々とした言葉遊びのような歌詞も抜け感をさらに加えている。そしてこのいかにも昔のUSインディ的なローファイサウンドのままカラフルなポップさを出せているのは稀有なことで、メロディに磨きがかかり、歌として響く曲が増えた証拠であるように思う。
私が気に入っているのは、弦の金属質な鳴りを残したクランチ気味のギターが心地よいサイケデリアを産んでいる「Rock City」や、ヨレヨレしたギターのリフに、リラックスしたバリトンギターのベース音がのどかな「In Two」、田舎の村に伝わるお祭り感のある楽しげなリズムとトランシーなリフレイン「2468」などで、加えてアルバムの最後をいちばんポップな「I Can’t Stand To See You」で締めるのも、ほのぼのとした爽快感があって好きな点だ。どの曲も、日常のさりげない隙間に、肩の力を抜いてほっこりとした気分にさせてくれる。そして何より、1stに引き続き、クオリティの高い作品をまだ二十歳そこそこの仲の良さそうな3人の若者が無邪気に楽しそうに繰り出してくる、その天然の才能が素晴らしいと思う。